歩み
ただ気持ちを確かめるだけ。
優なら話してくれる、必ず。
俺は気持ちを落ち着かせてゆっくりと口を開いた。
「優…後悔してるんじゃねぇの?」
「後悔?」
眉間に皺を寄せる優。
唐突な質問だったのか、俺の言葉に理解が出来なかったのだろう。
「まだ小林を好きじゃななんじゃねぇの?」
やばい、涙が出そうだ。歪む視界。
優の綺麗な顔が歪んでいく。
ここで泣いてたまるか。
「俺が?んなわけないだろ。俺はもうあいつにあきれたんだ」
あきれた?
なんだよ、それ。
あきれたなら何で今も小林を見つめるんだよ。
それって好きだからじゃねぇのかよ。
「でも体は正直だろ?」
体は正直すぎる。
俺の言葉を聞いて気付いてくれ。
自分の本当の気持ちを見てみろよ。
そこに答えは絶対にあるから。
「優の顔を見てるとさ…あの頃と変わらねぇんだよ」
優が小林を見つめる横顔が俺は好きだった。
最高にかっこいいから。