歩み


けど今日だけだぞ。
今日は気分がいいから、それだけのことだ。



「じゃあ行きましょうか」



富田は笑顔でこう言って、車を走らせる。
見送る家政婦たち。
俺はそんな家政婦たちに手を振って別れた。




移り変わる景色。
空港に向かう車。


気持ちだけが高ぶってしまう。
早く、早く。
沖縄に行きたい。


見たことのない地に早く立ちたい。
そして、星の砂が欲しい。


理由は、広瀬が欲しいと言っていて、俺も欲しくなったから。
見たことのない星の砂を見てみたい。


イメージでは綺麗なものだと思っている。
そして願いが叶いそうな気がするんだ。


持っているだけで勇気の出る砂。
持っているだけで幸せな気分になる砂。

それが星の砂だと思うんだ。




「楽しくなりますように…」



この修学旅行が一生の思い出になりますように。



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