歩み
「すげー」
優も俺と同じ気持ちだろう。
「全然地元の景色とは違うよな」
こう言った俺はあることに気づく。
俺は地元を上から見たことがない。
だから違いなどわからなかったけど、そんな気がしたんだ。
「この感動を沙紀と広瀬にも伝えようぜ!」
「おう!いいね」
こんなにもいい景色があるのだから、沙紀と見なくては勿体無い。
荷物の片付けは後回し。早く沙紀に会いたかった。
やはり最適な部屋の場所。
すぐにエレベーターに乗れた。
「沙紀の部屋は~506!」
「何で俺らの部屋の番号は忘れてて、沙紀たちのは覚えてるんだよ」
優が眉間に皺を寄せてこちらを見てくる。
そんな表情をするなよ。
仕方ないよ、これは。
だって昨日、何回も沙紀が言っていたのだから。覚えなくちゃ怒られそうで。
だから嫌でも覚えてしまったのだ。
沙紀たちの部屋に着き、インターホンを押す。
「は~い」
中から聞こえる沙紀の声。
そしてゆっくりとドアが開いた。
「おっす」
「早いね~!入って入って!」