歩み
優を誘おうとしたけれど、多分バイトだと思うからやめたのだ。
今日は何しようかな。
今日の予定を考えていたとき、ポケットの中に入っていた携帯が震えだした。
一定の速度を保ちながら。
もしかしたら沙紀かもしれない。
広瀬との約束が無くなったとか言って俺を誘ってきたのかも。
俺は歯ブラシをくわえたまま、携帯を取り出す。
新着メールが一件来ている。
差出人は、お前。
「あしゃと?」
名前のところに『土屋安里』と出ている。
珍しいな、安里からメールが来るなんて。
新着メールを開くと内容はこうだった。
《昼から用事あるか?話がしたい。》
内容を見た俺は更に驚いてしまう。
安里が話があるって?
何の話だろうか?
気になる。
気になるから断ることなど出来ない。
「歩さん?」
歯ブラシをくわえたままの俺を不思議に思ったのか、富田は心配したような表情を見せてきた。
用事ができたよ。
ゼロから、イチに。