歩み
確かめたいんだよ。
自分の目で。
「あった!!」
俺が掴んだモノ。
それは傷だらけの携帯だ。
この携帯は去年まで使っていたもの。
古くなってしまったけれど大事な宝物だ。
荒れる息。
呼吸をしようと頑張っている体。
俺はゆっくりと恐る恐る携帯を裏返す。
そこには、沙紀と撮ったプリクラが貼ってある。そしてその隣には沙紀と優と小林と撮ったプリクラが貼ってある。
色褪せているが顔ははっきりと見える。
比べてみたんだ…。
優の笑顔を…。
「…嘘…だろ…」
写真の中で笑う優の顔と、プリクラの中で笑う優の顔が…全くと言っていいほど違った。
プリクラの中の優は満面の笑みをしている。
けれど写真の中の優は、どこか無理しているようだ。
脱力感が襲う。
気づかなかった。
こんなも近くにいたのに優の変化すら気づかなかったなんて…
「…歩…、俺さ優に言おうと思うんだ。小林と別れた理由を…」
冷たい空気が俺たちを包み込む。