歩み

俺はもう決心をしたのだ。
優の出した答えを受け入れると。


優は歩きだしてくれると信じていた。
だが優から返って言葉は弱さを表した言葉だった。



「じ…自信がないんだ。まだ怖くて…ナナを泣かせるんじゃないかって…ナナが悲しい思いするんじゃないかって…怖いんだ…」



広瀬を泣かせる？
広瀬が悲しむ？



何言ってんだよ。
気づいていないのか？
恋愛をするのには付き物だぞ。
誰かを傷つけるのは。


俺も沙紀を好きになって色んな人を傷つけた。


けれど誰かを犠牲にしないと恋愛なんか出来ない。


優は気づいていると思っていた。



俺はそんな弱々しい言葉を聞くためにここに来たのではない。



「…優、お前ってバカだよな。早く気付けよ」



「…何が？」



俺は立ち上がり、優へ近づいて思いきり胸ぐらを掴んだ。



「不安なんだよ、誰でも！今のこの時だって、彼女たちは不安で悲しい思いしてんだよ！泣いているかもしれない。早く行けよ、言いに行けよ」



「歩…」




涙が出そうになった。
お願い、流れないで。


優を見送るまで…