歩み
~13.旅立った親友~
幸せを手に入れたとき、当たり前のようにその幸せが続くと誰もが思う。
けれどほんの些細なことで別れてしまったり、
本当に単純な理由で永遠の別れをしなければならないときがある。
俺は考えたくもなかった。
いつもいっしょにいた人が突然いなくなってしまったなんて…、今も信じられないよ…。
…季節は五月上旬。
今の季節が一番過ごしやすい。
暑くもなく寒くもなく、丁度いい気温だ。
周りが温かいからかな。その理由は、優と小林がまた彼氏彼女に戻ったから。
優の答えを受け入れると決めた俺は何も言わなかった。
やはり広瀬が気になったけれど、少し前に話す機会があり、心中を聞いてみたところ、笑顔で『優が幸せになってくれればいい』と言っていた。
それを聞いた俺はどこか安心をしてしまう。
広瀬も成長したな。
成長させたのはきっと優だよね。
そしてもう一人。
それは安里だ。
安里から電話がきたときは正直怖かったけれど、携帯越しの彼の声がそれを和らげてくれた。