歩み
周りが進路に向かって走り出したから焦りを感じていたのだ。
沙紀も決まって、それに向かって走り出している。
でも俺は止まったまま。このままでいいのだろうか?
「沙紀、進路決めたん?」
俺の隣でパスタを食べている沙紀に優はこう言った。
沙紀は一旦食べるのを止めて、優に返事を返す。
「一応ね~。パティシエになりたいんだ~だから専門学校!」
ピースサインをして誇らしげに言う沙紀の横顔が輝いて見えた。
やはり夢があると人間は変わるのかな。
「パティシエか。沙紀お菓子作るの好きだもんな」
「だから太るんだよ…」
聞こえないくらい小さな声で嫌味を言う俺。
けど沙紀にはしっかり聞こえていて、次の瞬間沙紀の拳が俺の腹へ入り込んだ。
そして口の中からラーメンが飛び出る。
痛いのですよ、沙紀さん。
「何の話~?」
すると俺たちの会話にある人が入ってきた。
それは小林。
そういえば小林は進路が決まったのかな?
決まってるよな、だって順位がいいしね。