歩み



…学校にチャイムの音が鳴り響く。
全ての授業が終わったという合図だ。
俺は帰る支度をして、沙紀を呼ぶ。


「おっしゃー!学校終わり!沙紀帰るぞ~!」



「待って~!」



俺を追いかけてくる沙紀。
そんな必死な顔が可愛いと思ってしまう。


そしていつものように自転車に乗り、帰宅する。


「歩、もう少しでみんなバラバラになっちゃうね。」



突然悲しい言葉を言った沙紀。
俺はそれを素直に受け入れることができなかった。


離れたくない。
みんなとまだ一緒にいたい。

このまま時間が止まればいいのに…


優もそう思っただろ?
だってまさかあんなことになるなんて思っていなかったのだから…。




「ずっと俺たちは一緒だよ。離れてもな」




この言葉は自分を安心させるために言ったのだ。想像ができない。
俺たちが離れるなんて。



ぎゅっと俺を抱く沙紀。沙紀の体温が俺に切なさを与える。




もう時間は残りわずかだった…。



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