歩み
俺は何をしたいのだろう…。
親父はきっと後を継いで欲しいと願っているだろう。
最近、親父が県知事に当選をした。
初立候補で住民から高い支持をされたと新聞等で騒いでいた。
だから余計俺に対する気持ちが増えたのだろう。
前、進路の話をしてきたときに『俺のようになれ』と遠回しに言われた。けど俺はなりたくない。
親父のような冷めた人間にはなりたくないと思っていたんだ。
まだ親父への反発は終わっていない。
髪の毛の色がそう語っている。
でも俺の中に光が差し込んできた。
それはあるテレビ番組を観ていた時だった。
ある弁護士のドキュメンタリー番組。
若くに弁護士となり、様々な事件に携わってきた。
やはり弁護士という仕事は難しい。
けれどやりがいのある仕事だと言っていた。
そしてその弁護士は最後にこう言ったのだ。
「最後に見せてくれる笑顔があるから頑張れる」と。
俺はこの言葉に大きく気持ちが揺らいだ。
単純なきっかけかもしれないけれど、俺が弁護士を目指そうと思ったのがこれだった。