歩み
そして弁護士となり、一番したいことは一人の人でも多く、闇から救ってあげたい。
幸せにしてあげたい。
幸せな笑顔を見たい。
そう思ったんだ。
だから進路希望の紙に、都内にある法学部を選んだ。
そのことを親父に言ったら、『そうか』としか言わなかったけれど、きっと内心喜んでいるんじゃないかなって思う。
ほら、親父は感情を露にしないしね。
それが決まったのは五月下旬だった…。
この頃、優に元気がなくなっていた。
いつも何かを考えているような、そんな表情をしていた。
「優ー、どうした?」
いつものように俺たちは休み時間廊下で話す。
小林の勉強を邪魔しないようにだ。
小林は休み時間いつも勉強をしている。
一体何を目指しているの?
「いや、別に…?」
「最近暗いね?百合と上手くいってないの?」
「百合とは上手くいってるよ」
そうだよな、当たり前だよ。
今ここで『別れた』なんて聞いたらどうしていいか分からなくなる。
じゃあ何が原因?