歩み
言えよ、優。
言わないなんて水くさいじゃないか。
生暖かい風が俺たちを包み込む。
何かが終わりを告げようとしていた…。
「じゃあ何でそんな暗いんだよ?」
「…内緒」
優から返ってきた言葉はこれだけだった。
今は話したくないのかもしれないな。
また時間が経ってから話を聞くとしよう。
「ケチ~」
俺は頬を膨らませ、窓の外を眺める。
雲ひとつない空。
神様は俺たちをすぐ見つけ出せるかな。
だから、連れて行ってしまったのかな…。
「そういえば歩、進路決まった?」
「あ~…あぁ…まぁな」
改めて聞かれると急に恥ずかしくなってしまう。顔を赤く染めらせ、言うのを躊躇う。
「歩、決まったよね~」
怪しく笑う沙紀。
そんな沙紀を見て優は興味を持ったようだ。
ちょっと、やめろよ。
「まじ?何?」
でも言うしかないよな。
「…親父みたいにはならないけど!親父の一歩手前?」