歩み
消そうと思っても消えなくて、だんだんと辛くなっていく自分がいた。
あの泣き顔は俺にとって辛すぎる。
「ま、いーけど!
歩、昼から部活行く?」
隼人からの突然の質問に考えさせられる俺。
今日は始業式で終わり。昼から部活があるのだ。
ちなみに俺はバスケ部。一年生からレギュラー入りをしている。
自分では上手いなんて思わないけど、先輩たちが優しくしてくれるからこの地位は悪くもない。
「部活かぁ…」
部活をする気分になれないな。
ボールを叩きつける力もない。
コートを往復する体力もない。
脱け殻状態とでも言っておこうか。
今日は、やめとく。
「今日は帰るわ。
隼人はやってくんだろ?」
答えは聞かなくても分かる。
隼人はサッカーが大好きだもんな。
「もちろん、やっ…」
「答えはいい。
顔見てれば分かるから」
分かりやすいんだよ。
瞳がキラキラと輝いているのだから。