歩み
頼むからこの答えだけ聞かせてくれ。
優に伝えるから、ちゃんと伝えるから答えて…。
涙がぽた…ぽたと落ちていく。
俺が泣いてどうするんだよ、本当に辛いのは優なのに。
守らなくちゃ、約束を。
俺は紙袋をぎゅっと握りしめ、立ち上がる。
優を支えなくちゃいけない。
そしてゆっくり、俺は走っていった。
進め、進むんだ。
駐車場まで走り、急いで車に乗り込む。
エンジンを入れ、準備完了。
今優はどこにいるだろう?
居場所などわからない。わからないけれど捜す。
きっと肩を震わせて泣いていると思うから。
今日は雲ひとつない快晴だった。
小林がいなくなった日は蒼い空の日だった。
だから優は道を踏み外すことはなかったのだろうか。
小林が照らしてくれたんだよな、きっと。
進む道を…、空の上から。
二人は赤い糸で繋がっている。
俺は今もそう思っているよ。
幸せだったよな、小林。