歩み


俺も世界を、運命を恨んでいるよ。


残酷すぎる…。

折角幸せが訪れようとしていたときに起こった悪夢のような出来事。


墜落という言葉に片付けられた、小林の運命。


そう考えると…苦しい。


携帯を耳に当て、呼び出し音に集中をする。


どうか、頼む。
電話に出てくれ。



『…………』



その時、呼び出し音が変わった。
だが向こうからは何も聞こえてこない。



「優!?今どこにいんだよ!?早く戻って来いよ…」



『…空眺めてる…なぁ…歩?』



「何だよ?」



空を眺めてる?
この言葉にある場所が浮かぶ。
俺たちと行った海か?
いや、そんなはずはない。
あの海まで行くのにはかなりの時間がかかるから。
じゃあ、どこだ?



俺は携帯を握りしめ、優の言葉を待った。




次に言った優の言葉が、あの日を思い出させた。



『運命って信じる?』




どくん、と心臓が揺れる。




優の言葉の中に小林の存在を感じた…。





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