歩み
3ヶ月前、小林にこの質問をされたときには『運命を信じる』と言った。けれど今はそうは思わない。
運命なんか、信じられないよ。
「運命?…あんまり…」
だからこう返したのだ。
『俺…百合と出会ったのは運命だと思うんだ…』
「うん…」
前に小林もそう言っていたよ。
優と出逢えたのは運命だと。
そして彼女も運命を信じていたよ…。
『運命って残酷すぎる…俺な…もし百合に一秒でも会えるっていうなら、俺は人を殺せると思う…俺自信ないんだ…これから百合がいない世界を一人で歩いていくの…』
なんと言っていいか思い浮かばない。
優を励ましたいのだが、それにぴったりな言葉はない気がした。
もしかしたら優を傷つけてしまうのではないかと怖かった。
「う…ん」
ゆっくりと瞼を閉じていく。
涙が一粒、零れ落ちた。
『俺…百合がすごく…すごく大好きだったんだ…今でも変わらないくらい…大好きなんだ』
小林…聞いたか?
優はお前を好きだってさ。
これに応えてあげてよ。空の上からなら優を見つけることが出来るだろ?