歩み
こんな言葉を言って、余計沙紀を不安にさせたかもしれない。
けれどこう言わなければ、小林の存在が消えてしまいそうだったんだ…。
俺たちの思い出の中に小林は存在している。
…次の日、小林の葬儀が行われた。
街のある葬儀専門式場で。
朝起きるとやはり夢ではなかった。
何度夢がいいと願ったことか。
テレビをつけると内容はあの墜落事故のことばかり。
専門家たちが意見を主張している。
意見を主張する前に、なにか対策を考えろよ、と不満を募らせた。
カーテンから覗く空は青色。
今日も空にいる小林がよく見えるくらいの快晴だった。
「小林…空の上は住みやすい?戻ってこいよ…」
空を見上げては、この言葉を何回呟いているだろう。
もちろん、返事はない。
返事は欲しいけれど、無理なことだ。
優は今日葬儀に来るだろうか?
今日が本当の最後の別れ。
俺は涙を流さずに笑顔で見送ることは出来るかな…。