歩み



そして葬儀場には予定時間より少し早めに到着をした。
受付を済ませ、中へ入っていく。
そこには同じ制服を着た生徒たちが沢山いた。



俺は遺影に視線を向ける。
それを見た瞬間、我慢していた涙が頬を伝っていった…。



「…小林…」



遺影の中で笑う小林。
その笑顔が今まで見たことのないくらい輝いていたのだ。
カメラ目線でにっこりと笑う小林。
きっとその隣には優がいたに違いない。


優にしか見せない笑顔だ、これは。



優はこの笑顔を見ていたんだな…。


そう考えると胸が締め付けられた。




「…小林、すげぇいい笑顔してるよな。俺…こんな笑顔見たことねぇよ…」



すると突然隣から声が聞こえてきた。
この声は…。



「…あ…さと…」



…安里だった。
瞳を潤わせ、遺影を真っ直ぐ見つめる安里。




「…優はすごいな、やっぱり。一瞬でこんな眩しい笑顔に変えるんだから…」




「…そう…だな」




優、お前はもっと胸を張っていいんだよ。
小林を幸せにしたのだから。



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