歩み
俺は顔を上げて誰かを確かめる。
隣には、優がいた。
「…優!?」
「……うん」
これは幻なんかじゃない。
間違いなく優だ。
優が葬儀に来たのだ。
その事実に驚く俺。
来ないと思っていたから。
まだ別れをしたくないだろうと思っていたから。
「来ないかと思った」
でも優は強かった。
別れをしにきたのだった。
小林と、永遠の別れを。
「今日で百合と最後だから…」
今日で最後。
これを聞いた瞬間、また涙腺が緩んだが、我慢をした。
今日はもう泣きたくない。
笑顔で別れたいから。
優のように…。
優にさ、渡したいものがあったんだ。
それは昨日空港で見つけた紙袋。
優の愛情が詰まったカードと小包。
大事なものだろ?
今日で小林とさようなら。
また逢える日は来るよな。
俺、思っていてもいいか?
小林は俺の大事な親友だと…。