歩み
葬儀が終わり、俺と優は外へと出て、小林が運ばれていくのをずっと見ていた。
「なぁ…歩?俺…百合に出会えて良かったよ…後悔なんてしてない」
「うん…」
「百合は俺といて幸せだったかな…」
何を求めて優はこの質問を俺にしたのだろうか。安心したかったのだろうか、それとも…
誰かをもう一度幸せにしたいと思ったのだろうか。
「…幸せに決まってんじゃん」
だからあんなにも眩しい笑顔を見せていたんだよ。
「俺…それだけでいいわ」
優はこう言って、小さく微笑みながら、空を見上げた。
まるで空の上にいる小林に微笑んでいるかのように。
「優…これ…
空港に置き忘れてあったからさ。中見たら、カードが入ってて。優のだったからさ」
俺は優に紙袋を渡す。
これを渡したら、優はまた辛くなるかもしれない。
けれど前に進むチャンスに変わって欲しいと思ったのだ。
「歩…やっぱ俺には時間が必要かも…な」
「時間?」