歩み
卒業式が感動という波に包まれたまま、終了を迎えた。
グラウンドに出て記念撮影をする生徒たち。
俺はある人を捜していた。
先ほどから姿が見えないのだ。
「歩?どうかした?」
首を傾げて俺を見る沙紀。
俺は辺りをキョロキョロとしながら、ある人の姿を見つけ出そうとするが、なかなか見つからない。
どこへ行ったのだろう?
「あれー?優は?」
ある人とは優のこと。
さっきから見当たらないのだ。
「そういえばさっきから見ないね、鈴木くんの姿」
「歩ー!!」
すると遠くから俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
俺は後ろを振り返った。そこには俺に手を振る、安里とその隣には木田がいたのだ。
「お!どうした?」
やはり築き上げてきた友情は簡単には崩れない。
「最後に優に会いたくてさ。和樹ももうすぐ引っ越しらしいし」
「じゃあ今日は卒業パーティーだな!」
「あ、斉藤くーん!!」