歩み
世話係?
笑わせんなよ。
俺はこの春から中学二年生だぞ?
もう一人で行動や判断を出来る歳だ。
なのに世話係って。
ふざけるのもいい加減にしろよ。
「で?今日は何時なの?朝飯」
この朝の電話は、朝食の時間を知らせるもの。
普通の家だったら、電話など使わずに、母親が起こしにくるだろう。
けど俺は違う。
母親は消息不明。
デザイナーでいろんな国を飛び回っている。
そして父親の顔も…薄れている。というか、思い出したくない。
父親は自分の息子より、他人の家族の方が好きなんだ。
弁護士という肩書きを背負って、生きているのだろう。
こんな無駄に広い部屋に鍵をかけて、俺を自由にはさせてくれない。
そう考えるとムカつく。
世界一嫌いなものは、
両親かもしれないな。
そして育児を《富田》という秘書に任せて、それでも親かよって愚痴を吐きたくなる。
けど、言えやしない。