歩み
歯向かうと、冷ややかな目で俺を見るからだ。
あの父親の顔が嫌い。
《朝食はすぐお持ちします。学校への出発時間は、いつも通りです。それまでにご準備を》
富田の言葉を聞いた俺は一気にテンションを下げる。
そして頭の中を横切っていく言葉。
《冷めたご飯》
俺は両親の次に冷めたご飯が嫌い。
たいして美味しくはないのに、それを毎朝食べて…。
しかもそのご飯は温かくはない。
いつも冷めている。
そのご飯と直面すると、親父の顔が浮かぶから余計食べる気が失せるのだ。
「あっそ。分かった」
俺はため息混じりにこう行って、子機を置いた。
そして唇を噛み締めて、自分の儚さに苛立ちを覚えるのだ。
どうして自由じゃないのだろう。
誰か俺を救ってくれ。
この部屋の鍵を壊して、俺を連れ出してよ…。
窓から覗く太陽が、
俺の心を無視して部屋を明るくしていった。