歩み


どうして儚く散るのだろう。
せっかく長い間眠っていて、ようやく華が咲いたと思ったら、すぐ散ってしまう。
これが自然の儚さなのだろうか。


学ランを握りしめて、窓から空を見る。


こんなにも明るい空なのに、俺の中はこの学ランの色のように、黒い。


すると突然、部屋に置かれている、無駄に大きいテレビの電源が勝手についた。
つけたのは、家政婦の仕業だけれど。


またそうやって俺を苛めるんだろ?



テレビに映ったのは、
毎朝同じ顔をしているニュースキャスターと、評論家、そしてあいつが映っていた。



息子のことなどそっちのけで、他人の家族だけのことを考えるヤツ。



「今日も旦那様、元気に仕事をされていますね」


家政婦の言葉に無性に腹が立った。
まるで遠回しに、俺が元気ないと言っているのと同じだからだ。


親父が元気だから俺も元気になれってことか?



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