歩み


こう言って、沙紀に成績表を渡す。
沙紀は俺からそれを受け取り、期待していないような表情を見せて、二つ折りになっていた成績表を広げていく。



「見てびっくりするなよ?」



見る前に沙紀に向かって言葉を投げる俺。
びっくり箱を開けさせるような感覚。
その様子を伺っている俺まで緊張をしてきた。
次第に手の皺の間が湿っていく。



そして沙紀はゆっくりと開いていった。
視線を成績表に移し、そこに書かれている真実を見る。


だんだんと沙紀から笑顔は消え、目を見開き、現実を必死に受け入れようとしていた。



「…え、なにこれ?」



第一声はこの言葉。
やっぱりね。
なんとなく分かっていたよ。


その言葉を聞いた俺は笑いそうになったが我慢をする。



「な?びっくりしただろ?」




「あ…ありえない!なんでアンタが3位なわけ!?」




期待通りの反応。
沙紀は俺を裏切らないようだね。





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