夫婦の始まりは一夜の過ちから。
わなわなとしだした寛子が力強くバンッとテーブルを叩き付けた。
その拍子にグラスにはっていたお水がこぼれ落ちる。
「今更なにそれ。信じられない!岡田頭バカなんじゃない?それ以前に岡田の親も大バカ野郎だよ」
私の気持ちを代弁するかのように寛子は続ける。
「家族ぐるみの付き合いをしてたんだから岡田の親だって知ってるはずでしょ。それに時間は経ったけど夏芽はまだ傷付いたままなのに…。どの面で夏芽とお見合いしたいって言うの!?こんなのあんまりだよ」
あの時、久と色々あった時に寛子が傍に居なかったら今の私は居ない。
きっと学校も行かずに部屋で引き込もって、今の会社へ就職出来てなかったかもしれない。
それくらい私は感謝しきれない程に寛子に支えてもらっていた。