夫婦の始まりは一夜の過ちから。
「ダメ。惚れちゃダメ」
「え?」
知らず知らずのうちに心の気持ちを口にしてたみたいで、真ん丸の目をした寛子がポカンと口を開け私を見ている。
「な〜んてね?なんとなく言っただけ」
アハハハハと笑いながらはなしの流れをどう切り替えようか悩む私に、明らか何か気付いたような笑みを浮かべた寛子。
「なんか安心した」
「寛子?」
「やっと岡田から抜け出せたんじゃない?だから岡田と会うのはやめなよ。お見合いなんて全部駄目」
うん。
「分かってる」
「ほほー。漸く認めたね」
「あ」
「隠しても無駄無駄。とりあえずなんか食べながらでも聞かせてよ」
そう言って寛子はメニューに視線を向けた。