夫婦の始まりは一夜の過ちから。
「ぷはーっ。一杯目からこれってなかなかいいね」
ジンジャーエールをごくごくと飲み終えた寛子は、グラスから手をはなしフライドポテトに手を伸ばした。
「それで好きな人とはいい感じなの?」
「好きな人って…」
「ちょっと言い方悪かった?じゃあね夏芽がタイプだっていう設定で」
正直言うと寛子になら伝えていいかもって思ってる。
アイドルとの事。
寛子は口固い方だし相談にも乗ってくれるし、そして何より‘なんか安心した’ってさっき寛子が言った言葉に言いたくなったから。
「言いにくいって事は簡単に言えないような相手?」
「そう言われるとそうかな」
いや…
そうかなの‘かな’は要らないくらい言えないなかなか相手だ。