夫婦の始まりは一夜の過ちから。
Negotiation
「遅かったね。夏芽ちゃん」
「あ、うん。ごめんね?壱が読めそうな雑誌を探してたらちょっと遅くなっちゃった」
ビニール袋を見せながら、にへらと笑ったところで気付く。
「あれ、お母さんは?」
「昼から大事な町内会の集まりがあるって言ってさっき帰ったよ」
「へぇー」
お母さん町内会の集まりがあるなんてちっとも私には言ってなかったのに。
「クロスワードなんて懐かしいなぁ」
「暇潰しになるかなって。こういうの嫌いだった?」
「ううん。学生の時はハマってよくやったし、こう見えてもクロスワードとかナンバープレースとか得意だよ」
知らなかった。
壱が得意だなんて初耳だ。
それなら買ってきて正解だったかな?