夫婦の始まりは一夜の過ちから。
□Reception
「ハッハハハ。参りましたな」
「そう言わずに。ほら、中谷くん」
熱々熱燗大徳利を持って取引先の相手である春風さんのお猪口に注ぐ。
春風さんは私の想像を遥かに越えた酒豪。
ここにやって来てからまだ2時間も経ってないと言うのに、春風さんは既に徳利4本をあけた。
しかもその徳利以外にも春風さんは飲んでいるから驚きだ。
「それで家内に言ったんだよ。私はおもちゃかいって」
「いや〜、春風さんは笑いのセンスもおありで。これはぜひとも見習いたいですな!な、中谷くんっ」
この人本当に人間なの…?
いや、人間だからこうやって上司と二人して春風さんをヨイショしているのだけれど。
下戸な人間な私からすると春風さんの酒豪をほんのちょぴっとだけでもわけてもらいたいくらいだ。
大人になると嗜む程度にアルコールが飲めた方がなにかと便利だから。