不器用なぼくら
夜10時を過ぎた頃



遅番だった薫君と清水さんがやって来た



廉「あーダーリン遅かったじゃーん。俺待ってたんだよ」



太郎「ありゃりゃ。もう出来上がってんだ(笑)」



幸宏「俺は思うわけよ!ご飯のお供は何も梅干だけじゃないんだって!」



さえ「バカユキ!ご飯って言ったら梅干でしょー!」



みお「私はジャガイモが好きで・・・よく食べるんだよー」



幸宏「あぁ!ジャガイモね!炭水化物界じゃアツいよねアレは!」



シュン「ユキ話変わりすぎてついてけない(笑)」



薫「俺砂肝食いたいんだけど誰かいる?」



みお「あ、私食べたいです!」



もはや早番組はすでに出来上がっていて



まともに会話ができる人は少なかった




こんなに楽しいって思えるの・・・久しぶりだなぁ


















幸宏「あ!ねぇねぇ!俺みおの連絡先とか知らないー!教えてよ!」



みお「うん。いいよー。赤外線で送るよ」



シュン「じゃ俺も教えてもらおうかな」



さえ「そだそだ!私も知りたい~!」



薫「俺も」



太郎「俺ー・・・あ。ケータイ店に忘れちった」



みお「じゃ清水さんは明日でいいですかね?」



太郎「うん。大丈夫ー」



廉「みお。俺にも教えて」



みお「あ、はい!」



そういえば連絡先誰も知らなかった



皆と連絡先を交換しながらケータイを眺めた



皆の名前が電話帳に入っている



それだけで心があったかくなった









ユキちゃんと連絡先を交換してる時

  

フッとユキちゃんのケータイを見て思わず声が出た



カラフルな色使いで独特のタッチの絵の待ち受け



みお「わぁ・・・ユキちゃんの待ち受けすごいね・・・」



幸宏「あ、これ?すごい絵でしょ!これ長老が描いたやつー!」



みお「え?長老って・・・清水さん!?」



シュン「あぁ。あの店に飾ってあるやつね。最近太郎君描いてる?」



太郎「んーん。最近は手縫いで何かできねーかなって思って試行錯誤中」



シュン「太郎君さ、そういうの得意みたいでさ。趣味なんだけどあまりにも完成度高いから俺らの中では作家なんだよね」



みお「す・・・すごいですね。清水さん!」



太郎「そ?普通だよー。だって好きな事やってるだけだし」




そう言いながらなんとも誇らしげな清水さん



“好き”の気持ちだけであれだけの事ができるなんて



清水さんはすごい人なんだと思った



シュン「薫君とか料理かなりうまいよー。よくまかないの飯作ってもらうけど絶品!」



廉「料理やらせたら薫君の横に出る人あんまいないと思う」



幸宏「ちょっと待て!俺がいるだろー!!」



さえ「ユキちゃんが作るのは独特過ぎて好き嫌いあるよ!」



幸宏「俺はねー薫君には負けないんだから!俺だってうまい飯作れる人になるんだ!」



廉「何さうまい飯作れる人って」



シュン「コックって言いたいんじゃね?」



さえ「あー・・・そんな言葉も出ないなんて」



薫「ユキ。俺はお前の作る料理結構好きだけど」




幸宏「あーうるさい!ライバルに慰められて嬉しいわけないじゃん!」



皆のやり取りを見てると清水さんが耳打ちをした



太郎「2人とも料理作るの好きでさ。いつかはそっちの道に進みたいの。よくバイトでもキッチンに入ってるでしょ?そーいう理由もあって。まぁユキちゃんいわく2人はライバル関係にあるみたい」



みお「そうなんですか・・・」



薫「ってもさ。シュン君だってアレじゃん。今探してるんでしょ。イベントやれる所」



シュン「んー・・・まぁなかなか見つけらんないね。大体親も反対してるし」



薫「難しいよなー。なにせシュン君とこはきびしーもんね」



さえ「私もさーシュン君がイベントやるなら出たいんだけどなぁ」



みお「??? 2人も何かやってるの?」



不思議そうにしてるとシュン君は照れくさそうに笑ってみせた



さえちゃんもちょっと恥ずかしそうにして色々教えてくれた




さえ「私さ、kagayakiを休む日はダンス教えてるんだよね。って言っても正式なスクールのインストラクターでも何でもないんだけど。ただ踊るのが好きでさ。せっかくだからイベントとかで盛り上がれたらいいなって思って。」




シュン「俺も趣味とかだけど音楽かなり好きでさ。音楽が流れてるその空間とかもすげー好きで。いつかイベント開いてさ、音楽で人とつながりたいっていうか。まぁ俺はどっちかっていうと企画と見る聞く専門だからなんも出来ないけどね(笑)」





皆の話を聞いてすごく思った




それぞれが好きな事があってそれに向かってる




ただ“好きだから”っていう気持ちで




眩しかった 羨ましかった




私が持ってないもの




みんなが持ってた













そんな話をしている内に皆寝てしまった




起きてるのは私と




廉だけになった

< 37 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop