不器用なぼくら
その日はそれで話は終わったけど




それからサキの様子はおかしくなった




サキ「ねぇ廉」




廉「何?」




サキ「どうやったらノリは私の事見てくれるんだろう」




廉「またその話?」




サキ「私が事故とかにあったら・・・心配してくれるのかな」





廉「ふざけんなよ。サキ、何言ってんの」





サキ「そうだよ。そしたら私の事見てくれるよ」




廉「いい加減にしろよ。サキ!目覚ませよ!」





簡単に出る言葉 1つ1つが




俺にとっても怖くなってきた





とてもじゃないけど精神的に正常ではない





でもほっとけなかったから毎日話を聞き続けた





そうする事で サキが俺を必要としてくれてるんだって




感じたかったんだと思う























ついに連休前日




明日からばあちゃんと温泉旅行だ




でもその前にサキの話を聞きに公園に行かなくちゃ




祖母「ありゃ廉。こんな時間にどこ行くんだい?」




廉「ちょっと友達ん所。遅くはなんないからばあちゃん寝てていいよ」




祖母「そりゃいいけど廉、ばあちゃんあの棚にあるカバンで荷物持ってきたくてなぁ」




廉「あ。そっか。じゃ・・・」




~~~~♪




電話が鳴った




ケータイを見る




―着信   サキ―




廉「~・・・ばあちゃん。帰ってきてから俺が棚から取るから。危ないから自分で取らないでね。じゃ行ってくる」




祖母「ばあちゃん荷物の準備しておくからなぁ~」




廉「うん!分かった」




それから俺は走って公園に行った

























廉「サキ」




サキ「廉、ごめんね明日から連休なのに」




廉「いいんだよ別に。で、今日は?」




サキ「実はねいい報告があるの」




廉「いい報告?」



















サキ「実はね・・・ノリとヨリを戻したの」





















は?





どういう事だ?






サキ「ノリがね?やっぱり私じゃなきゃだめなんだって言ってくれたの。だから・・・またノリと付き合う事にしたの」





本気で言ってんのか?




あんなに傷付いたのに




あんなに苦しんでたのに




また同じ事繰り返すのかよ





サキ「廉にお礼がいいたくて。ありがとう。もう大丈夫だよ」




大丈夫な訳ないだろ




またすぐに泣かされるんだぞ




分かってるだろ?


















サキ「だから・・・廉も幸せになってね」




















サキだけには 





言われたくなかったよ























廉「・・・ふざけんなよ」





サキ「・・・え?」





廉「あいつがサキの事、大切にするとでも思ってんのかよ!?夢見るのもいい加減にしろよ!」




サキ「れ、廉?」




廉「あんな奴なんかやめろよ!俺が・・・俺だったら」





サキ「やっ・・・ちょっと!」





気付いたらサキを腕の中に閉じ込めてた




きつく きつく 抱きしめた





言いようのない気持ちが抑えきれなくて




俺はサキに無理やりキスをした




サキ「・・・っ・・・!れ・・・やだ!」




廉「俺の気持ち気付かなかった?好きでもない奴の為に毎晩話聞くほどお人好しでもないよ」




サキ「私は・・・ノリが好きなの。廉じゃない・・・」





廉「じゃ・・・じゃ何で俺なんかに頼るんだよ!やめろよ!」




サキ「やだ!廉!離して!」




廉「・・・っ・・・行くなよ!」




サキ「・・・っ!」

















バシッ














サキが俺の頬を叩いた




涙目で俺を見る目は




今までのサキとは違ってた




サキ「・・・廉・・・ひどいよ!こんな事する人だったんて・・・!」




廉「そうさせたのはサキのせいだよ」




サキ「何で・・・?何でなの・・・廉の事、大切な人だと思ってたのに・・・」




廉「俺はそれが嫌だったんだよ。その気がないなら・・・俺にもう関わらないで。ウザイ」





サキ「・・・もういい。廉なんて知らない・・・」





















サキ「廉なんて、大嫌い!」
























大切だった人を傷つけた




それと同じくらい俺も傷付いた




サキ




大嫌いだなんて言われても





俺はサキの事 




嫌いにはなれなかったよ

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