不器用なぼくら
サキが死んだのは




ばあちゃんの葬式の数日前





ちょうど連休前で夜会ってた日だ





事故現場はあの公園の近くの横断歩道だった




相手は乗用車で飲酒運転だったらしい




車がサキにぶつかったと近所の目撃証言があったみたいで




それはもうひどい事故だったそうだ





つまりサキは




俺から離れてそのまま事故にあった事になる

































一瞬で 全てを失った




大切だったばあちゃんも




好きだったサキも




俺は今度こそ本当に




1人ぼっちになった




























どんなに大切な人も




どんなに愛した人も




自分から糸も簡単に離れていくその現実に




すごく怖くなった




自分も責めた




俺のせいなんだ




全部俺が悪いんだ




あの時 カバンをとってあげていれば



あの時 追いかけていれば




こんな事にはならなかったんだ




これからどうやって生きてけばいいんだ




誰がご飯作ってくれるんだ




誰が家で待っててくれるんだ




誰が心配してくれるんだ




誰が俺を・・・













好きになってくれるんだ



























それから俺は会社を辞めた




サキの面影を見つけては




自分を責める事でしかできなかったから





家も出た





じいちゃんばあちゃんの思い出が




いっぱいあったから





もう誰も好きにはならない




本気にならない




俺は誰も守れない




またこんな気持ちになるのなら




最初から1人でいた方がよっぽどマシだ





でも




それでも俺は1人が怖くて




誰かの温もりが欲しくて




誰のそばにいたくて




でも俺の居場所はなくて




だから俺を必要としてくれる人のそばにいよう




そうすれば俺のいる意味があるんだって




でも好きにはならないんだって




色んな思いを巡らせて




1人で生きてきたんだ





















ただ それだけだった



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