泣いていたのは、僕だった。
別に聞く必要なんてないんだけれど…
「こんな怪しい状況でどうして君は、僕が矢代 創だと疑わないんですか?」
「うーん…最初は怪しいなって声かけたんだけど、なんかアンタ良い人そうだし。誰か傷つけるタイプじゃないと思ったから。」
それだけっと青年は笑った。
「君は……良い子だね。」
「はぁ?何それ。超ガキ扱いじゃん!」
「そんなことないですよ。誉めたんです。」
「本当かなぁ?」
納得のいかない青年の後ろから、眩しいライトが照らされる。
「――!?」
「君たち、何をしている!?」
「警察じゃん…捕まると面倒なんだよな。アンタ、先行きなよ。」
青年は僕に背を向けた。
「…でも」
「やらなきゃならない事あるんだろ?だったら行きなよ。こんなとこで足止めされてる場合じゃないじゃん?」
「……………」
「戻ってきたら名前、教えろよ。無いなら自分で考えてさ」
僕は頷いて走り出した。
神木 翔一…
騙してすみません。
この償いは必ずするから…。