泣いていたのは、僕だった。
「で、なんで真司に内緒なわけ?」
『……DJSIのトップは古林 静(フルバヤシ シズカ)。真司の――――弟だ。』
「………え?弟?」
『ま、そう言うこった。資料は揃えてあるから三日以内に取りに来てくれ。くれぐれも真司の奴にはバレねーようにな。ああ、それから居候の二人組…確か……』
「隆と創?」
おっちゃんの代わりに二人の名前を口にすると、両者とも不思議な顔をして振り返った。
『そうそう。そんな名前だったな。その二人にも協力頼んどけ。お前さん一人じゃ荷が重いだろうからな。』
そう言って電話は切れた。
「仕事の依頼ですか?」
笑って訊いてくる創に対し、隆は素知らぬ振りだ。
「ん。超面倒臭そう。」
「俺はゴメンだね。」
隆の取り出した煙草を創が取り上げた。
「まぁ、そう言わずに。僕達で出来ることがあるなら協力しましょうよ。」
「ちっ……お人好し。」
「室内での喫煙禁止しますよ?」
「……………。」
隆は肩を竦めて、分かりましたよ、と乱暴に言い捨てた。