泣いていたのは、僕だった。
「いやぁ、しくじりましたね。」
「笑ってる場合じゃねーだろ。」
拘束された隆と創の会話が両脇から聞こえる。
もちろん俺も拘束されているわけで、縄は簡単に解けそうにない。
周りには見張りの男たち。
抵抗しても無駄だと判断した俺たちは、あっさりと捕まった。
「ちょっと嘗めてましたね、僕達。」
「……全くだな。おい翔一、生きてるか?」
自由が利く足で隆が俺を蹴る。
「生きてるっての。」
「おい!うるせーぞ、てめーら!」
見張りの一人が唾を飛ばして怒鳴り散らす。
「うっわ…汚ーよ、お・じ・さ・ん」
わざと煽るように言った俺の言葉に、男は逆撫でされたように俺の襟首を掴んだ。
「ぶっ殺されてーのか!?あ!?」
「――ダメだよ。」
突然後ろのドアが開いて、一人の男が入ってきた。