泣いていたのは、僕だった。


「いやぁ、しくじりましたね。」
「笑ってる場合じゃねーだろ。」


拘束された隆と創の会話が両脇から聞こえる。


もちろん俺も拘束されているわけで、縄は簡単に解けそうにない。


周りには見張りの男たち。


抵抗しても無駄だと判断した俺たちは、あっさりと捕まった。



「ちょっと嘗めてましたね、僕達。」
「……全くだな。おい翔一、生きてるか?」


自由が利く足で隆が俺を蹴る。


「生きてるっての。」
「おい!うるせーぞ、てめーら!」



見張りの一人が唾を飛ばして怒鳴り散らす。


「うっわ…汚ーよ、お・じ・さ・ん」


わざと煽るように言った俺の言葉に、男は逆撫でされたように俺の襟首を掴んだ。


「ぶっ殺されてーのか!?あ!?」
「――ダメだよ。」



突然後ろのドアが開いて、一人の男が入ってきた。




< 102 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop