泣いていたのは、僕だった。
side真司
―真司side―
『あ、もしもし?真司?』
翔一からの着信のはずが、聞こえてきた声は予想外のものだった。
「それ、翔一の携帯だよね?どうしたのかな?」
『さーてね。俺のこと誰だか分かる?』
「…………。」
ひどく聞き覚えのある声。
「久しぶりだね、静」
『正解。久しぶり、兄さん』
“兄さん”……か。
まさかもう一度呼ばれるなんてね。
「で、何の用かな?」
『うん。仕返ししてやろうと思って』
「……………」
『今から指定する所に三時間以内に来てよ。この人たち大切でしょ?来ないと殺しちゃうよ。』
「………………」
電話は指定場所だけ告げると切れた。
静………。
「………僕が間違ったのかな。」
あの時、僕は………
間違った選択をしたのだろうか?