泣いていたのは、僕だった。




「残念、外したか。それにしても俺の仲間を盾にするなんて、相変わらず酷い性格。」
「どーも。どうせ仲間なんて思ってないでしょ。捨て駒がいいところかな。」



静のナイフは真司の首元に、そして銃口は俺に向けられている。



「その銃、降ろした方が身のためだよ?」
「ナイフより銃?自分よりコイツらの心配?そんなに大切?」
「さぁね。」
「本当、相変わらずだね。」



数秒の睨み合い。


……二人って兄弟なのに似てねーな。


俺はその光景を見てそんなことを思った。



「真司こそ銃降ろさないと、大切な仲間が死んじゃうよ?」
「その前に君の頭をぶち抜くだけさ。」
「怖いなぁ、兄さん」
「………あの時、やっぱり僕は間違ったのかな」



真司の声は小さくて、ハッキリと聞こえなかった。


「古林静、凶悪犯指定者と認定された。警察からの依頼で、君を抹殺する。」



真司の目つきが変わって、引き金にかけられた指先に力が込められる瞬間――



「ダメだ!」



俺は思わず叫んでいた。





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