泣いていたのは、僕だった。
部屋のドアを開けると、中にはベッドに腰掛けた真司の姿があった。
煙草をくわえ、窓の外を眺めているようだ。
背中でドアを閉めると、こちらに気がついた。
「……どうしたの?」
「いや……静のこと考えてんのか?」
「そーだね。逃がしちゃったし、仕事失敗。」
心ここに在らずで笑う姿は、見てて痛々しかった。
「そうやって、なんで隠すんだよ?」
「何を?」
「全部だよ!いっつも自己完結しやがって!!そんなに俺は…俺らは頼りねーかよ!!」
「…………」
「俺も創も隆も、一緒にいるだろ!?ちゃんと側にいるだろ!?もっと頼ってくれたっていいじゃねーか……」
思っていたことをぶちまけた。
「……僕は、」
言い掛けて、真司は口を閉ざした。
俺は真司のこういうとこが嫌いだ。
「あの日……真司が俺を拾った日………」
俺はまっすぐ真司を見た。
「――助けを求めたのはお前だろ?」
暗い部屋の中、真司の目が見開かれるのが分かった。