泣いていたのは、僕だった。



「……そんなに笑わなくてもいいじゃないか。」
「いや、だってな……ククク………超泣きっ面……あー、腹痛ぇ」
「……うるさい。」



笑いながら思った。

なんか変わったなって。


雰囲気っての?
真司を取り巻く壁みたいのがなくなった。



「いーんじゃん?そういう弱いとこあっても。なぁ?」


創に振ると頷いた。



「ええ。その方が人間らしいですよ。」


創は翔一を見た。



「手は掴めましたか?」
「おう。」


きっと二人しか分からねー会話だから、突っ込むことはしなかった。



俺は真司の肩に腕を回した。



「なんか吹っ切れたみたいだな?」
「……まぁ。僕は、人間らしいかな?」
「少なくとも今のお前は人間らしいな。」



俺は懐から煙草を取り出し、差し出す。




「そっか。」



笑った真司は、今までと違う顔で笑った。



「そんな風に笑えんじゃん。」
「なんか変だった?」
「いや、ほら火」



人って変われるんだな。


俺も少しは変わったかな。




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