泣いていたのは、僕だった。
「…あの、翔一?」
今の話を聞いていたのかと問おうとすると、翔一は僕に微笑みかけた。
「俺はさ、過去の真司より今のお前を知りたい。お前はどんな奴で何を思って生きているのか。過去より、今が俺は大事。」
ああ、やっぱり。
翔一には太陽が似合う。
「うん。そっか。」
「そーだよ。な?」
話を振られた創くんと隆くんも頷く。
今の僕に出来た大切な存在。
これが仲間、ってやつなんだろうか。
「創、俺腹減った……」
「分かりましたよ。じゃあオムライスにしますか。」
「やったぁ!」
そんな会話を視界の端で見ながら、胸に温かなものが広がるのを感じた。
ねぇ、神様……
あの日掴めなかった大切なモノを
僕はもう一度手に入れたよ。
神様なんて大嫌いだけど、
もし僕たちを巡り合わせてくれたのだとしたら、
感謝ぐらいしてあげてもいい。
「翔一、ありがとう。でも……いつか僕を殺してね。」
「……お前まだ……俺は自由になんなくてもいーよ。ここに居たいんだ。だからお前を殺す必要なんてないんだ。」
「うん。でも、殺してほしいんだ。翔一に。いつか、その日が来たら。」
数秒、もしかしたら数分…
互いに見つめ、いや睨み合った。
「…………俺が真司の所有物だからか?」
僕は決めたんだ。
この心臓を止めるのは君の側でって。
大切な人の手でって。
「うん。」
「……………分かったよ。」
そんなに唇を噛み締めて、本当に君は分かってくれたのかな。
「さて、創くんの特製オムライス食べたいな。」
「…はい。今作ります。ちょっと待っていてください。」
創くんが台所へ駆けていく。
僕はいつものように煙草を吸う。
いつもより美味しくなかった。