泣いていたのは、僕だった。



翔一から受け取ったコントローラーを動かす。


画面は格闘ゲーム。


正直、コンピュータ相手の格闘ゲームは得意だ。



「すっげー!超強ぇじゃん!!」


隣で興奮する翔一。

後ろでは意外だ、と言う隆と真司の呟きが聞こえた。



「大したことじゃないですよ。」



WINの文字が表示され、僕はコントローラーを返す。



「なぁなぁ、今度対戦しようぜ!」
「いいですよ。どうせなら四人でやりましょう。みんなでやった方が楽しいですから。」
「それいいな!絶対真司ビリだろうけど」



翔一が笑うと、真司は心外だと口をとがらせた。



「本気を出せば僕だって強いよ。」
「へぇ、超楽しみ」



なんてことない日々。


四人でいる当たり前な日常。



それが今の僕には堪らなく幸せ。


ずっとこの日々が続いていけばいい。




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