泣いていたのは、僕だった。
創の方に視線をやると軽く微笑まれた。
「真司を助けることが出来て、良かったですね。」
「……ん。俺さ、四人でいるこの場所が好き。」
ちょっと躊躇いがちに言う俺に、創は僕もです、と返してきた。
「隆と創と真司…誰か一人でも欠けたら、ここは俺の居場所じゃなくなる。」
「………」
「なのにどうして……アイツは気付いてくれないんだろうな。」
真司は言った。
“僕を殺してね”って。
それはつまり、自分で自分の居場所を奪えって事だ。
「……酷い奴だよな。」
「真司は真司なりにアナタを大切に思っていますよ。ただ、その方法が分かっていないだけで。」
「そうかな?」
「そうですよ。それに……言葉にしなきゃ伝わらないですよ。」
意味深に創は笑った。
“一緒に来る?”
そう言って差し伸べられた手を、俺は取った。
何でだっけ?
どうしてだっけ?
ああ、そうだ。
アイツが泣いていて、
目の前で消えていきそうだったからだ。
自分は死ぬ気でいたくせに、
俺はアイツに消えてほしくないと願った。
そう、願った。