泣いていたのは、僕だった。


持ち金も少なかったためホテルに入れるわけもなく、近場の漫画喫茶に身を置くことにした。


店員に怪訝な顔をされたが気にしてる場合ではない。


創を椅子に座らせ、途中で買った治療道具で傷の手当てをする。



吹きかけた消毒液に、創は顔を歪めた。



「この切り傷、結構深いな」
「ええ、刃物で切られましたからね。」
「アホか。笑ってる場合じゃねぇだろ。」



絆創膏、それで足りない所は包帯で手当てをする。

一通り終えて、俺も一息ついた。


「すみません。ありがとうございます。」
「礼なんて言うんじゃねぇよ。それより」
「これからどうするか、ですね?」
「ああ」



ここに移動するまでに、かなりの妨害があった。


あれも恐らく古林静の差し金だろう。




「このままやられっぱなしは癪ですね。」
「言うと思ったぜ。」


どの道このままじゃ済まねーしな。



俺は携帯を取り出し、翔一へ連絡を入れた。



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