泣いていたのは、僕だった。
服の端を破って、翔一の左足を止血する。
「僕の腕は正確だからね。急所は外してる。大丈夫、すぐよくなるよ。」
「なぁ、俺さ真司が間違ったとは思わねーよ。」
「…………うん。」
僕は笑って手にしていた銃を、翔一に握らせる。
「?」
翔一は困惑の表情を浮かべた。
気にせず、その銃口を僕の胸に突きつける。
「真司?何だよ?」
「約束したでしょ。僕を殺してって。」
「…………」
「太陽は沈んじゃダメなんだ。世界には必要だから。」
「な、に言ってんだよ?太陽?意味わかんねーし。俺は居場所を守りにきたのに……どうして自分で奪わなきゃいけないんだよ!?」
離そうとした翔一の手を掴んで、銃を構えさせる。
「僕には分からない。大切なものの守り方が。僕は…大切なものほど無くしてしまう。いつか僕は、翔一の世界を壊してしまう。」
「……………」
「だから……世界が壊れる前に、翔一が僕を壊してよ。そうすれば僕は、何も失わなくていい。」
翔一の手で終わりを迎えるなら、
この世に未練なんてない。
ないんだ……。