泣いていたのは、僕だった。
創と隆は病院へ行ったため、家には俺と真司が残った。
空気が微妙に……重い。
家に帰ってから真司は煙草を一本も吸っていない。
「………禁煙でもしたのか?」
「ん?いや、そうじゃないよ。」
「らしくないな。」
「翔一、僕は何のために生きているんだろう?僕は何者なんだろう?」
その問いの答えを、俺は持っていない。
「さぁな。俺にもわかんねーよ。」
「そうだよね。」
「そうだろ。分かんねーから、毎日必死に生きてんだろ。足掻いて、足掻いて必死にさ。」
誰も知らない道を、ただひたすら真っ直ぐに歩いていく。
「一人じゃ迷うから誰かと一緒に歩いていくんだろ。」
「………だったら、翔一は僕の道標だね。」
「はぁ?んだよ、それ。意味わかんねーし。」
「分からなくていいよ。」
真司は笑って煙草に火をつけた。
そして一言、
「うん、美味しい。」
満足げに呟いた。