泣いていたのは、僕だった。
マジで何もんなんだよ、コイツら……。
「大変失礼いたしました!」
「いやいや、別にいいんですよ。ね、翔一?どうせ何の説明もせず、逃げてきたんでしょ?」
話を振られた本人は笑って誤魔化している。
「では、我々は持ち場に戻りますので」
警官はバタバタと走り去った。
「全く酷い目にあったぜ。」
「ちゃんと話せば分かってくれるよ。相手は警察なんだから」
「だけどさ……ん?コイツ誰?」
二人の視線が俺に集まる。
「ああ、この人は…えっと………そう言えば名前聞き忘れてた。」
「しっかりしろよな、真司!で、アンタ誰?もしかして矢代って名前じゃねーよな?」
――コイツら矢代を追ってるのか?
「俺は櫻井 隆(サクライ リュウ)だ。」
「なんだ矢代じゃねーのか。」
「おい、ガキ。てめーも名乗れよ。」
「ガキじゃねーよ!俺は…神木翔一だ……」
「翔一ね。そっちは?」
名前はさっき警官が言っていたが…一応聞いた方がいいだろう。
「僕は古林 真司です。よろしく」
ニコニコと笑う顔が胡散臭い。