泣いていたのは、僕だった。
どう見てもやる気のない男と、こんなガキがどうして矢代を…?
「なぁ、どうして矢代を追ってる?」
「悪いヤツだからに決まってんじゃん!」
翔一は当然だろと笑った。
「…見つけてどうする?」
「捕まえるに決まってんだろ?場合によっちゃ殺(や)るけど…アンタは違うの?」
俺は……
「まぁな。」
「変なのー。どうでもいいけどさ。なぁ、真司やっぱ名前だけじゃ見つけらんねーよ。」
名前だけ?
コイツら矢代創を見たことないのか?
「うーん…思ったより見つからないもんだね。翔一の方は怪しい人とかいなかったの?」
「怪しいヤツ……特には。あ、なんか良い人そうなヤツはいたぜ!」
「良い人?」
「なんかさ、命に代えてもやんなきゃなんないことあるんだってさ。かっこよくね!?」
命に代えても……
まさか――!
「おいガキ!」
「だからガキじゃねぇよ!!」
「んな事どうでも良いんだよ!そいつの容姿教えろ!!」
「へ?んー…身長はアンタと同じぐらいで、髪は肩につくぐらいだったかな。あと暗くて良く分かんなかったけど、瞳の色が茶色っぽかったかも…」
俺は盛大に舌打ちをした。
それを掻き消す銃声が、後方で響いた。
「な、なんだよ!?」
「創だ……くそっ!」
「あ、おい!」
俺は銃声の鳴った方向へと走り出した。
翔一と真司も俺の後を走っている。
「クソガキ」
「だからガキじゃねえって!」
「お前が会ったのが矢代創だよ。」
「え?…アイツが?」
創……。
お前本当に………。