泣いていたのは、僕だった。
side翔一
―翔一side―
俺と真司は仲間なんかじゃない。
確かにそうだ。
なのに、どうして俺は動揺してる?
真っ直ぐ見据えた真司の顔は、いつもの笑顔。
いつもの何を考えてるのか分からない顔。
「くそガキ!」
隆の声で我に返る。
「何ぼーっと突っ立ってるんだよ!」
「……………」
真司が隆の手を振り払った。
「ちょっと静かにしててもらえないかな。」
「んだと!?てめーの心配してやってんだろうが!!」
「そーゆーのは、余計なお世話ってゆーんだよ。」
「ふざけるのもいい加減に――」
「黙れ……って言った方がいい?」
一瞬真司の笑みが消えた。
それは真司の本当の顔。
まるでこの世の終わりを見てきたような、何かを捨ててしまった表情。
俺は真司のこの顔が怖い。
再び笑みを取り戻した真司は子山に向き直った。
もう誰も止める奴はいなかった。