泣いていたのは、僕だった。
電話越しでも皆保のおっちゃんが怒っているのが分かった。
真司は創に歩み寄る。
「ちょっと足りないかもしれないけど、罪は償ってもらえるよ。」
「どうしてそんな傷を負ってまで……?」
「さあ?」
真司は俺を見て、
「ムカついたから、じゃないかな」
と言った。
「いったた……翔一、止血、止血」
「………俺に頼んでいいのか?俺はお前を殺す気なんだぜ」
俺は真司に近付いて、正面から向き合う。
「真司が深手を負った絶好のチャンス。俺は今、お前を殺すかもしれない。」
「……ああ、うん。そうだね、それもありだね。」
まるで危機感のない笑顔。
ほんと、何考えてるか分からない…。
「バカじゃねーの。なしだよ、なしに決まってんじゃん。」
真司の左腕を取る。
「どっちなのさぁ?」
「俺がそんな卑怯な真似するわけないだろ!」
「痛いよ。もっと優しくしてほしいな」
「自分で怪我しといて文句言うんじゃねーよ!」
ぎゃーぎゃー喚く俺達に、隆と創が近づく。
「あのありがとうございました。」
「アンタら一体何者なんだよ?」
俺と真司は目を合わせて、にっと笑った。
「さぁね。わっかんね。」
「僕達も知りたいんだ。自分が何者なのかをね。」
変な奴らだ、と隆は笑った。